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個人間のお金の貸し借り、立替

個人間のお金の貸し借りや、立替えたお金を裁判で請求して勝つには証拠が必要になってきます。(相手方が認めている場合は、証拠は必ずしも必要ではないです。)

もちろん、借用書があれば、高確率で裁判で勝てますが、借用書がいつもあるとは限りません。
そもそも、裁判所(法律)はどういう理由で、借用書のような証拠を要求しているのかも含めて、どのようなものが必要か考えてみましょう。

個人間の貸し借り

貸したお金を返して欲しいという場合、法律は以下のことの主張と証拠を求めています。

1 借りた人が貸した人に対してお金を返すことを約束したこと

2 貸した人が借りた人に実際にお金を渡したこと

3 借りた人が返さないといけない日を決めて、その日が来たこと。(決めていない場合は、そろそろ返せと伝えて、その後相当期間が経ったこと。)

3番については、結構法的解釈ではいろんな説があるのですが、あまり本筋からは関係がないことが多いです。
このうち大事なのは、1番と2番です。

どんな風に証拠が求められるのか事例を挙げてみてみましょう。

4月6日 Aさんは、Bさんに「家賃が払えないので追い出されるかもしれない。お金を貸して欲しい。」とメールしました。Bさんからは特に返事はありませんでした。

4月8日 Bさんは、Cさんに封筒を渡して、「これ、Aさんに渡しておいて」と言いました。封筒には50万円入っていました。

4月10日 Cさんは、Aさんに50万円の入った封筒を渡しました。

4月20日 Bさんは、Aさんに貸した50万円を返して欲しいと伝えました。
Aさんは借りていないと言います。。。。

さて、BさんはAさんに貸した50万円を返せと請求できるでしょうか。
貸したお金を返してもらうことについて、法律の求める条件を振り返ってみましょう。

1借りた人が貸した人に対してお金を返すことを約束したこと

2貸した人が借りた人に実際にお金を渡したこと

まず1番について考えてみます。
BさんとAさんは約束したでしょうか??
「Aさんは家賃が払えないので追い出されるかもしれない。お金を貸して欲しいとメールしました」
しかし、Bさんはそれについて返事をしていませんね。
ところが、後日50万円をCさんを通じて渡しています。Bさんは貸してくれと言われたから、渡した=貸したと考えているようです。

Bさんの行為は、貸してくれと言われた(申込)に対して承諾をしたとの主張ができそうです。
そう考えれば、お金を借りて返すことについて合意があったと言えます。

2番についても、実際にAさんの手元にお金が渡っているので、Aさんはお金を受け取っているので、返さないといけないとの効果が発生しそうです。

では、Aさんからも話を聞いてみましょう。

Aさん「お金は確かに受け取ったが、それは私が困っているので、Bさんがくれたものです。返す必要はありません」(1番の論点)

又はこんなことを言いだすかもしれません。

Aさん「確かにBさんにお金を貸して欲しいとメールしたが、Bさんから返事もなかったし、実際にお金は受け取ってないです。」(2番の論点)

このように、お互いの言い分が違う場合には、証拠が必要になってきます。

1番の論点では、お金はもらったものだという主張です。
そうすると、法律は「返すという約束があったことの証拠」を求めます。
Aさんからの「お金を貸して欲しい」というメールは証拠として活用できます。
少なくともAさんは貸して欲しいと申し込んでいたという証拠になります。

次に、Bさんが渡したお金は貸したという意味だったのかどうかが問題になります。

先ほどのメールでは、直接的には、貸した意味なのかあげた意味なのかを示す証拠にはなりません。

例えば、BさんがAさんが親子で、Bさんがいつもお金を援助していたとすればどうでしょう。Aさんは援助して欲しいと言いづらくて、いつも貸して欲しいという言い方をしていたが、援助の実態があったとします。

そうすると、今回のお金も援助だと考えるのが筋ですね。
このように他のことから実際どうだったかを推測できる場合があります。
これを間接事実(間接的な証拠)と言います。

逆に、AさんとBさんが付き合いのそんなにない友人だったならば、普通は50万円もあげてしまうなどということは考えにくいですよね。
そういった場合には、これは普通は貸したと考えるのが筋だということになります。

2番の論点について考えてみましょう。
受け取ったことの証拠が問題となっています。
これについて間接的な証拠を上げるとすれば、その日の当日や前日などに、銀行からAさんが50万円を出金していたこと、Bさんがお金に困って家賃を支払えていなかったのに、家賃の支払がその後すぐにできていたとなれば、それはそのお金を受け取っていたからではないかと推測できます。
このような間接的な証拠によって、お金を受け取っただろうと裁判官が考えればお金を渡したということが事実として認められることになります。

もちろん、借用書があれば、返済の約束も、実際にお金を渡したことも、借用書で直接立証できることが多いです。

ただ、いつもいつも借用書のような直接的な証拠(法律上の行為を行ったことを直接証明するものを直接証拠と呼びます。)があるとは限りません。

このような場合に、法律が求めていることを推測できる事実(間接事実)について証拠(間接証拠)があれば、借用書がなくても勝訴できることがあるのです。

それでは、次に実際の裁判について検討してみましょう。
少額訴訟と、一般の裁判、支払督促、民事調停という四つの方法があります。
中でも、個人間トラブルに有用なのが少額訴訟です。

少額訴訟

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