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少額訴訟

少額訴訟は、60万円以下の金銭請求について、原則1回の裁判で解決を図ります。

60万円以下の金額で、以下のようなものが向いています。

貸金返還請求(お金の貸し借り)
請負代金請求
売買代金請求
敷金返還請求
給料支払請求

少額訴訟は、一般訴訟と異なり、簡易かつ迅速性が高く、一般市民が、「代理人なし」でも手続きすることが可能です。
その結果、少額訴訟は費用面、時間面で優れています。

着手金成功報酬
訴状作成のみ35,000
陳述書・証拠説明書・証拠申出書各10,0000
少額訴訟代理60,00010%

(上記に加えて消費税がかかります)

少額訴訟の利点

・原則1回で終わるので、解決までが早い
・一般訴訟と異なり、法律に詳しくない市民が行うことを想定しており、裁判官が法的主張についてうまく主張できないことについて、ある程度寛容。
・反訴の禁止(訴え返しが禁止されている)

デメリット

・原則1回で終わるので、追加の主張をしていくことが難しい。
・相手方が少額訴訟に異議を唱えると、一般訴訟に回される。
・控訴が禁止されているので、事実上一審制。(異議審という同じ裁判所でもう一度審理というのはあるが、あまりひっくり返らない。)

手続き選択における少額訴訟の位置づけ

一般的に、法律専門職は、少額訴訟をあまり利用しません。
というのは、日々、訴訟手続きをしていることから、一般訴訟のように、ある程度、長い期間(半年程度)に裁判に取り組むことになっても問題ないということと、もし、追加の主張が必要な場面に出くわした場合には、少額訴訟では、追加主張が困難なので、一般訴訟を選択しておくことが無難だと考えるからです。

ところが、一般市民の目から見ますと、1から2か月程度で終わる少額訴訟は精神的な負担も少ないという利点がありますし、一般訴訟と異なり、当日の裁判所でのやりとりもご本人のみでも可能です。(つまり費用を抑えやすい)
裁判官も一般市民が手続きするということを前提にやりとりしてくれます。
とはいえ、裁判官は、中立ですので、アドバイスのようなことはしてくれませんので、必要な証拠や法的主張が不足※しますと、勝てるはずの事案でも勝てないということもあります。
ですので、本当に簡単な訴訟以外では、弁護士や司法書士のアドバイスをもらい、書類を作成してもらって、裁判当日そのものは、自分で対応するというのが、最もリーズナブルであり、直接裁判官に話をするので、納得感も高いものとなります。

※「法的主張が不足」
裁判所は、当事者が主張したもののみ法廷で採用可能な事実として取り扱うことが許されています。(弁論主義の第一テーゼといいます。)
例えば、法律がAとBという事実の主張がないと、Xという権利が発生しないと定めている場合に、AとCを主張したものの、Bは主張していないという場合は、裁判所はXという権利を認めることができません。

また、当事者が争わない事実は、真実と異なったとしても、裁判所は、それと異なる事実認定をすることが許されません。(弁論主義の第二テーゼといいます。)

なお、証拠についても、当事者が提出したもののみ採用できるとされています。(弁論主義の第三テーゼ(職権証拠調べの禁止)といいます。)

また、そもそもXという権利の実現を求めることが訴状に記されていないと、その権利について裁判所は判断することができません。(処分権主義といい、当事者が求めるもののみ判断可能としています。)

このように、法律上、訴状等の作成に当たって、決して外してはいけない部分がありますので、そこを外さないように、弁護士や司法書士の支援を受ける必要があるのです。

手続き選択における一般訴訟、支払督促、民事調停の位置づけ

少額訴訟以外にも一般訴訟、支払督促、民事調停という3つの方法がありますので、それについてもご紹介します。

一般訴訟

一般訴訟は、140万円以下を簡易裁判所、それを超えるものを地方裁判所が取り扱います。
一般訴訟は、一般市民のみの申し立てであっても、裁判官は基本的には、とりわけ親切にはふるまうことができません。
言葉は弁護士や司法書士に対するより、柔らかく接してくれますが、わからなかったら、弁護士や司法書士に相談してみて下さいというに留めることになりますし、法的な主張について、それとなくフォローするなんてこともありません。
しかし、本格的に争うのであれば、一般訴訟が最も適しています。

支払督促

支払督促は、貸金業者がよく使う手段で、形式面さえ整えば、一方的に裁判所書記官が、相手方に送り付け、異議がなければ、そのまま勝ちというものです。
ただし、異議が出ますと、自動的に一般訴訟に移行します。

民事調停

裁判所での話し合いです。
訴訟というには、あまりにケンカ腰だという場合や、相手の証拠がわからない場合などに、適当なところで落ち着きどころを探る形で話をもつというにも使われます。
民事調停の解決率は約3割程度となっており、これには、相手方が話し合いの席につかせつ強制力がないという点が影響しています。
しかし、相手方が出廷しそうな場合には、それなりの解決が見込めますし、裁判と異なり、緊張感は幾分和らげている点も見逃せません。
また、大きな点としては、一般訴訟は法的主張の組み立てができていないと、勝てるものも勝てませんが、調停の場合は、あくまで話合いによる解決ですので、どういった紛争かということがわかれば足りることになっており、法的なことの理解を深く求められませんので、そういった意味でも敷居が低く、ご本人のみの手続きとしては、最も取り組みやすいものです。

少額訴訟で知っておきたい 証拠書類の取り扱い

証拠書類となる文書には、以下のような区分があります。

1 公文書と私文書

2 処分証書と報告文書

1 公文書と私文書
公文書は、公務員がその権限で作成した文書
私文書は、公文書でないものを指します。

2 処分証書と報告文書
処分証書というのは、意思表示など法律行為が行われたことを示す文書で契約書が典型例です。
処分証書は証拠価値(実質的証拠力といいます)が大変高いものです。
というのも、これが当事者の作成したものだと認められますと(形式的証拠力があるといいます)
その当事者(文書の作成者)がその通りの法律行為がなされたと証明され、特別の事情がない限りはひっくりかえりません。

また、処分証書では厳密にはないものの(法律行為を表現していない)、処分証書に類する価値があるものとして、領収書についても極めて高い証拠価値があります。

一方、報告文書には、証拠価値(実質的証拠力)はそれほど高くない場合が多いです。
報告文書は、事実に関する作成者の認識、判断、感想等を書いたもので、裁判で出てくるものとしては、典型的には、日記があります。
日記は、一方的に書けますので、証拠価値は必ずしも高いものではありません。
一方、業務日報のようなものも報告文書に当たりますが、これは労働者が作成したのち、上司がハンコを押すなどして認めていますので、一方的であるとは言えず、それなりの証拠価値を有します。

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